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ホタルの里日記
平成14年4月16日

○夜の水辺観察
 (生態系維持に重要な水田)

  夜の水辺は、昼とだいぶ違います。そもそも水生動物は夜行性のものが多いようです。ホタルの幼虫も夕方から動き出しますし、カワニナもどっちかといえば夜行性です。きっと昼は鳥などの天敵が多いためでしょう。

 今日はそんな夜の姿を見たくて、夕方8時頃から自然観察です。
 近くのヘイケボタルが出る小さな水路、小さな池を覗き、それから昨日の夜カエルが騒がしく鳴いている場所を探してみました。
 さっそくイモリを見つけました(ちょっと興奮)。もう三十年ぐらい見たことが無くて、小さな池が(農業構造改善によって)なくなってしまったここ発地ではもう見られないのではと思っていました。
 池ではコオイムシが卵を背に背負っているの見つけ、そこにオヒキガエルが3匹、それにその卵も見つけました。またそこにはマツモムシやヒルなどもいました。
 
 最後に、カエルの鳴き声がする場所を目指しました。
 そこは稲の苗代でした(下の写真参照)。たくさんのカエルのカップル、メスの奪い合い。まさに繁殖の真っ最中でした。

 水溜りもあちこちにある80ヘクタールのホタルの里で、遠くから聞こえるほどのカエルの騒ぎは、稲の苗代でだけでした。私は休耕田に自然にできた水溜りと思っていましたが。
 (カエルの繁殖にとって重要な)水田を作る人が今年もここ発地で二人ほどいなくなりました。
 あと10年もすると誰も稲を作らなくなりそうです。するとカエルが減って、フクロウの繁殖もままならなくなるかもしれません。  


イモリ
イモリの左にはドジョウがいます。この写真を撮った後、ドジョウに近づいてゆき、
パクリと口に含んだ(ように見えた)けど、簡単に逃げられました。



コオイムシ
 


オヒキガエル
 このオヒキガエルははじめ卵の下に隠れていましたが、息が出来なくなったのか、もぞもぞと浮かび上がってきました(結構気持ち悪かったです)。
 画面右半分は卵です。カンテン状の中に見える黒い粒がそうです。いったい何個の卵が産み付けられているのでしょう。相当な数です。ここには3匹のオヒキガエルがいましたが、卵を守っているのでしょうか?



ドジョウ
 ドジョウが自然繁殖している水路はとっても少なくなっています。
 ここは「ホタルの里」の北側の沢筋で、沢の一番奥には池があり、そこから水が流れ出してきています。この水路はドジョウもカワニナも豊富に自然繁殖しています。
 「ホタルの里」でもこんなところは他にありません。このような場所がここ数年間にU字溝を伏せられるなどして2−3箇所消滅しました。
 発地のホタルは大量農薬使用の時代を、このような水路で生き延びてきたと思うのですが。



いい声のカエル(たぶんニホンアカガエル)
 多くののカップルやメスを奪いあう様子がみられました。卵もたくさん産み付けられていました。
 「いい声」はオスがメスに向かってアプローチする時に出すようです。ちょうど鳥のさえずりのような声を出します。

 ところで、なぜ真中のカエルはおんぶをしているのでしょうか? まあ、カップルが出来上がっていることは分かるのですが。このあとメスが卵を産んで、オスが精子をふりかけるのかな?(後日談:包接といい、上に乗り、しっかり抱いて、産卵を促すのだそうです。) またこうしていると他のオスがメスを奪いにこないのかもしれません。事実、メスの奪い合いをしているのはまだこの姿勢が出来上がっていないカエルでした。
 左端のカエルは、もう卵を産んで、その卵を守っているように見えました(そんな習性あるのかな?)。



「いい声のカエル」がたくさんいた稲の苗代
 ここ発地でも、稲を作る人は数名だけです。


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