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ホタルの生態(ゲンジボタル)

○卵の産卵(6月下旬-7月上旬)

 ゲンジボタルは数百個の卵をあちこちに数回に分けて産卵します。羽化した場所から相当離れた場所にも舞っていって産卵し、生息域を広げるようです。









○幼虫(7月ー翌年4月頃)


 産卵後約1ヶ月で卵は孵化し、脱皮を繰り返しながら大きくなります。右の写真は10月末に撮ったものですが、この頃になると相当大きくなります。しかし成長の個体差は大きく、2−3年かかって羽化する場合もあるようです。











○上陸(5月)

○羽化(6月下旬ー7月初旬)


ホタルの生存戦略について

○食料の確保
 成虫は餌をとらないが、幼虫はかなりの大食漢といわれています。ゲンジボタルの卵が孵化する頃、ちょうどカワニナの子供も大量に生まれてきます。ゲンジボタルの幼虫は、そのカワニナの子供を餌にして育ちます。ほぼ自分と同じぐらいの大きさのカワニナを食べるそうです。カワニナの子供はホタルの幼虫とほぼ同じ時期に生まれ、同じように育ってゆき、随時ホタルの餌になるようです。
 でも水槽で観察するとホタルの幼虫はとっても狩が下手で、きっと弱ったカワニナから餌にするのではないかと想像できます。ゲンジボタルの幼虫はカワニナを絶やすほど食べ尽くさないようです。それが太古から生き延びた理由の一つかもしれません。人類も学ばなければ!


○天敵からの身の守り方
 ゲンジボタルは、幼虫も成虫もいやなにおいがします。魚などが口にしても吐き出すそうです。ただそのにおいにかまわず捕食する天敵もいるそうです。
 成虫は、昼は葉の陰に潜んでおり。夜に舞うのも身を守る手段かもしれません。幼虫もどちらかというと夜行性のようです。捕食されにくい夜に活動するのでしょう。


○生息域の広げ方
 交尾したメスは何回かに分けて、数百個の卵を生みます。その際、かなり離れた場所まで飛んでゆき、あちこちに産卵するようです。


○種の保存戦略
 生殖において、一般にメスは強いオスを選び、また近親交配を避ける仕組みがあるものですが、ホタルにおいてはどうでしょうか?あまり分かっていないようです。ただ、オスが1週間程度メスより先に羽化します。これはもしかすると、メスが羽化したときには弱いオスは元気を無くしているでしょうから、強いオスを得る仕組みなのかもしれません。またメスに先行して羽化したオスの一部は、遠くまで飛んでゆき、離れた場所で羽化するメスと交尾するかもしれません。これは近親交配を避ける仕組みかもしれません。(以上は仮説です)

 また、ホタルの幼虫は必ずしも1年で羽化する訳ではありません。発育が悪い場合、2−3年かけて羽化することもあるそうです。これは、たとえばある年が大雨で、卵が流されてしまった場合でも、その翌年に羽化できる幼虫が生き残っていることになり、ホタルの生存戦略といってよいかもしれません。

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